猫目先輩の甘い眼差し
ガランとした教室に驚愕の声が響く。
月香ちゃん、樫尾くん。
デートに誘われたかもしれないって相談はしたけどさ……そんなに楽しそうに言わないで⁉
ただでさえまだドキドキしてるのに。これ以上は心臓に悪いよ……。
「ひゃー! 青春だね! いいなぁ」
「笹森くんはないの? 女の子と出かけるの」
「ないよ。本当は遊びたいけど、部活と塾で忙しいから」
あぁそうだった。
ほぼ毎日、予定が埋まってるんだっけ。
だとしたら、あの時は貴重な休みだったのか。
ベルの健診に付き添う予定があったから断ったけど、お父さんに頼めば本当は行けたんだよね。
勇気出して行けば良かったな。
「樫尾くんはある?」
「え? いや。ないけど」
「あー、っぽい! 女の子が近寄りがたそうな雰囲気だもん! ねぇ楠木さん!」
「うんっ。私も最初、敬語で話してた」
「俺も! 知り合って1週間は敬語だった!」
「…………」
共感し合う2人を樫尾くんは黙って見つめている。
今、何を思ってるんだろう。
笹森くんとは違って感情が表に出にくいから、正直、まだ少し掴みづらいところがある。
怒ってないといいけど……。