猫目先輩の甘い眼差し
「それって、迎えに行ったってこと?」
「かも。時間もお昼過ぎだったし。まさかショッピングモールに行くとは思わなかったなぁ。朝日先輩、ツーリング用の服着てたから」
だとすると、着いてから着替えたのか。
バイクに乗る時は露出を抑えた服じゃないといけないもんね。
お店の中は涼しいけど、さすがにそのまま行動するのは暑いだろうし。
「ひゃー、大丈夫だったの? 見つからなかった?」
「大丈夫。信号変わる前に行っちゃったから」
「そっかぁ。修羅場にならなくて良かったね」
「修羅場って。三角関係じゃないんだから」
月香ちゃんにツッコミを入れた樫尾くん。
駅前の道路は、学校の近くにある大通りよりも狭い。それゆえ、横断歩道の長さも短い。
ヘルメットをかぶってて見えにくかったのもあると思うけど……それでも、長年の友人の姿に気づかなかったなんて。
それくらい、朝日先輩とのデートに夢中になってたの……?
「それで、その後は先輩に連絡したの?」
「ううん。後で聞こうとしたんだけど、悪いなと思ってやめた」