猫目先輩の甘い眼差し
「市瀬さんは何に出るの?」
「バレーボール。月香ちゃんと一緒に出るの」
「お〜! 俺も! 友達と一緒にペア組んだんだよ〜」
ニコニコ笑顔の笹森くん。
なぜ忙しいはずの彼がここにいるのか。
というのも、今日から三者面談が始まるため、今週いっぱいは午前中授業。
塾の時間は夜なので、それまで時間がたっぷりあるから。
「それよりさ、とうとう市瀬さんも買ったんだね! トラ吉カーデ!」
「うん。本当は笹森くんみたいにお小遣いで買おうとしたんだけど、相談したら全額出してくれたの」
「良かったね! これでいつもトラ吉と一緒だ!」
やたらテンションが高いのも、連日部活に行けるからだろう。
ワイワイ話していたら、あっという間に部室に到着した。
しかし、お昼時なのもあり、部員の数はいつもの3分の1。
面談もあるし、みんな一旦帰ったのかな。
3人で入口付近の席に座り、人が集まるのを待つことに。
すると。
──ガラガラッ。
「失礼しまーす」
「あ! 零士先輩!」
「颯くん! 久しぶり!」