猫目先輩の甘い眼差し
数分後。再びピーッと笛が鳴り、ウォーミングアップを終わらせた選手達が次々と入水。背泳ぎの体勢準備へ。
いよいよだ……。
月香ちゃんと手を重ね合わせて、始まりの笛を待つ。
プールの中央を見つめ、ゴクリとつばを飲み込んだその時。
──ピッ。
短い笛の音が聞こえて、第1泳者達が一斉に動き出した。
「頑張れー‼」
「いけいけー‼」
観覧席の四方八方から甲高い声と野太い声が飛び交う。
決勝というのもあってか、先程よりも強く、大きい。
「いいよー! その調子ー!」
「頑張れー!」
私達も負けじと声援を送る。
今2組は、背泳ぎから平泳ぎの人に移ったところ。順位は3位。
だけど、2位とは体半個分離れており、充分逆転できる位置にいる。
一方4番レーンでは。
「3の2すごいね。ずっと1位だ」
「うん。安定してる」
2位と体1つ分以上の差をつけて、ペースを落とすことなく泳いでいる。
スポーツコースのクラスもいる中で、この順位は本当にすごい。
しかし、油断は禁物。
さっきもバレーで圧倒的な実力を見せつけられたため、猛追してくる可能性もある。