猫目先輩の甘い眼差し
その後も試合が行われ、上位6組が決勝へ。
見事、私達のクラスは決勝進出を果たした。
さらに──。
「あ! 来た来た! 厚い胸板の人が一ノ瀬先輩!」
「っ……!」
同じくコマを進めた一ノ瀬先輩達がやってきた。
今知ったけど、先輩も私と同じ2組だったんだ。もしかしたら出席番号も同じだったりして。
別のことを考えて意識を逸らす。
プールから観客席まで距離はある。だから、細かい筋肉は見えない。
けど、鍛え上げられた腕や背中はバッチリ見えていて……。
っ、ダメだよ! 遠いからってまじまじ見ちゃ!
今日は肉体観賞じゃなくて、水泳を観賞しに来たんだから!
小刻みに頭を横に振っていると、先輩達は1番と2番レーンをスルーし、4番レーンに着いた。
「うわっ、隣⁉ 見栄えはいいけど、ちょっと気まずくない?」
「そうだね……」
水泳の試合を何度かテレビで観た時、高成績で通過した選手が、よく真ん中のレーンで泳いでたっけ。
つまり、さっきの準決勝、1位と2位で通過したというわけか。
2人ともゴーグルを着けていて表情がわからないけど……今どんな気持ちなんだろう。