猫目先輩の甘い眼差し


先輩の口から羨望の声がこぼれた。


目黒先輩とは同じ地元で、学区は隣だけど、よく朝日先輩の弟さんと3人で遊んでいるんだそう。

しかし、最近は受験の準備で忙しく、登校日以外は全く会えていないらしい。



「今日は私の分まで楽しんでね!」

「はいっ」



お互いに唐揚げを口に含み、ふふふと笑い合う。


ちょうど先月、零士先輩に告白されて、今日で1ヶ月を迎える。

この後、その記念にデートする予定なんだ。


最後の1つを口に運び、容器をゴミ箱に捨てる。



「あれっ、朝日先輩と市瀬さんじゃないですか」



すると、リュックを背負った、黒いTシャツ姿の樫尾くんに遭遇した。



「こんな場所で何してるんですか?」

「唐揚げパーティーしてたの! 樫尾くんは?」

「俺はこれからバイトです」

「わぁお、働き者だねぇ」



もぐもぐとお肉を噛みつつ、会話している2人からそっと距離を取る。


終業式の日に交際報告をした際、いつもと違った反応を見せた樫尾くん。

それ以来、顔を合わせる度に胸騒ぎがするようになった。
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