猫目先輩の甘い眼差し


ぶつかった視線が唇に移動して、顔が熱くなる。


柔らかな微笑みと、ほんのちょっぴり甘さを含んだ優しい眼差し。

それは、1ヶ月前に私に向けた、愛しい人を見つめるような顔。


背中に回されていたはずの手は、いつの間にか腰の辺りに下りていて。



「……零士先輩」

「ん?」

「ありがとうございます。一生大切にしますね」

「ふふっ、良かった」



至近距離にある切れ長の目を見てお礼を口にすると、ふにゃっと頬を緩ませて、クイッと体を引き寄せられた。

髪の毛を耳にかけられたのを合図に、ゆっくり目を瞑る。



「世蘭ちゃん、好きだよ」



そのわずか2秒後。
耳元で呟く声が聞こえて、お互いの唇がそっと重なった。



✾✾



「ええっ⁉ 本当ですか⁉」

「うん。学校終わったら、ここでしようかなって思ってた」



しばらく余韻に浸った後、駐輪場にやってきた私達。


なんと零士先輩、1ヶ月記念の日に、ここでキスをしようと考えていたらしい。
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