猫目先輩の甘い眼差し


「ケーキ、買いに行くね」

「ありがとうございます。私も、唐揚げ買いに行きますね」

「えー、嬉しいけど、それじゃキスできなくなっちゃうなぁ」

「なっ……!」



バスが来る直前まで、終始甘々だった零士先輩。

ふぅ、油断も隙もない……。



──その翌週、そのまた翌週も。

やってきて1番に抱きついてきて、猫のように頭を首元にスリスリ。


そして、修学旅行前の登校日には──。



「今日は階段なんですか?」

「うん。外、小雨降ってるし」



校門とは反対側にある、人気のない階段にやってきた私達。

明日は旅行の準備で忙しいだろうからと、特別に今日会うことになったのだ。


階段の2段目に荷物を置いて腰を下ろす。



「次会えるのは、10月?」

「ですね。帰ってきて次の日はお休みしようと思うので」

「ってことは、丸1週間会えないのかぁ」



「寂しい」とポツリと呟くと、そのまま右肩に頭を乗せてきた。

ただ寄りかかっているだけなのに、ズシッと重みを感じるのは、多分、愛が重……強すぎるからかな。
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