猫目先輩の甘い眼差し


まだこっちに話は回ってきてないからいいものの……他のクラスの人に話してる可能性もあるよね。特に、同じ動物部の人には。

なので、今日みんなの前で、堂々と振る舞わないかと提案されたのだ。



「月香ちゃんも参加するの?」

「ううん。私はカラオケ大会の応援に行くの。笹森くんが出るみたいだから」

「そうなんだ」



月香ちゃんは、新体育館で行われるカラオケ大会を観に行くんだそう。


単独行動は嫌いじゃないけど、交際が知られた今、独りぼっちはちょっぴり不安。

先輩達に、「なんであんな人が彼女なの?」って悪口言われないかが心配だな……。



1階に下りて中庭に入ると、上で見た時以上に人がゾロゾロ。

お昼時というのもあるが、ここにはおにぎりやパンなど、ご飯系のお店が多いからだろう。



「うわぁ、多いねぇ。二手に分かれて並ぶ?」

「そのほうがいいね」



月香ちゃんの提案を受け入れ、私は唐揚げを、月香ちゃんはサンドイッチを買いに行くことに。

最後尾の看板を探して列に並び、お金を準備する。


──チャリンチャリン。


しまった。落としちゃった。

でも、せっかく並んだこの行列を抜け出すのは……。
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