猫目先輩の甘い眼差し


「おっ、その反応は、もしかして?」

「……うん」

「ひゃーっ! おめでとう! 楽しんでね!」



ニヤニヤに近い笑顔で、背中をポンポン叩いた月香ちゃん。


ちょうど今朝、駐輪場で会った時に誘われたんだ。



『あのさ、良かったら、今日のダンスパーティー、一緒に踊らない?』

『いいですけど……大丈夫なんですか?』

『うん。衣装は学校が用意してくれてるから』

『いや、そっちではなくて……』



大勢の生徒が集まる中、2人で踊るなんて、交際を秘密にしているのに大丈夫なの?

と思い、さらに尋ねたら。



『実は…………昨日、中庭にいたの、こっそりクラスメイトが見てたみたいで』

『えっ、それって……』

『……ごめん。バレちゃった』



樫尾くん以外、誰もいないのをいいことに、下の名前で呼び合っていたのを見られてしまい。

さらには抱きついていた姿まで見られてしまったんだと。


それだけなら、まだマシなほうなのだけれど……。

そのクラスメイトが、先輩に送るはずだったメッセージを、クラスのグループチャットに誤って送信。

結果、質問攻めされたという。
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