猫目先輩の甘い眼差し


返事を打ちながら、尋ねようかどうかを考える。


気になるけど、今まで動物の話しかしてないから、関係ないことを聞くのは勇気がいる。

もし怪しまれちゃったら部活に行きにくくなるし……。ここは何か理由を付けないと。



✾✾



──キーンコーンカーンコーン……。



6つ目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

教科書を片づけて机を前に運ぶ。


結局聞けなかった……。

休み時間と昼休みを使って考えたんだけど、どれも無理矢理感があって全部ボツ。


いっそのこと、樫尾くんに聞いてみようかとも思った。

だけど、それこそ「先輩に気があるんじゃ……?」って怪しまれそうだったからできなかった。

月香ちゃんのことといい、なんか今日は調子が良くないな。


掃除とホームルームを終えて生物室へ。



「あ! 世蘭先輩!」



中に入るやいなや、入口付近の席に座っていた女の子が手を振ってきた。



「盛り上がってるね〜。何見てたの?」

「秋田犬の動画です! モッフモフですごく可愛いですよ!」
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