猫目先輩の甘い眼差し


「うちの雷夜が本当ごめんね! 大丈夫? 個人情報は無事?」

「は、はいっ」



心配していると、お姉さんが目の前にきて私の顔を覗き込んだ。


どうやら険しい表情をしていたようで、せがまれているのではないかと思ったらしい。

一瞬冷や汗が流れたけど、修羅場にならなくて良かった。



琳子(りんこ)……やりやがったな……」

「当然でしょ。好きな物をエサにして釣ろうってのが見え見え。下心丸出しで恥ずかしくないの?」

「はぁ⁉ なんだよその言い方!」



復活した先輩が声を荒らげた。

周りに人がいないのをいいことに、ヒートアップしていく。


どうしよう、別の意味で誤解されてる。


全然困ってないし、むしろありがたいくらいだって言わなきゃ。


でも、この弾丸が飛び交う中に、口を挟む隙間なんてあるだろうか。

下手したら飛び火が来そうだもんな……。



「コラそこ! やめなさい!」



ウジウジしていると、騒ぎを聞きつけたのか、一ノ瀬先輩が仲裁しに来てくれた。



「全然帰ってこないと思ったら……後輩の前だぞ」

「「…………」」
< 65 / 312 >

この作品をシェア

pagetop