西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
朱雀は、先程からただ黙って煙草を吹かしている。

「若…様…」
恐る恐る秀実が、朱雀に声をかけた。

「お前の声、気色が悪くて吐き気がする」
天井に向かって煙草の煙を吐いた朱雀。
静かに言葉を吐いた。

「え……」
「その声で、俺の花苗を“花苗さん”と呼び、掃除をさせた。花苗は優しいから、俺達の名前を呼ぶなって助言までしてたのに“花苗さんがチクらなければ”なんて言いやがって。
バカにするのも、いい加減にしろ!?下衆が!!」

「どうして、その事を……
まさか、花苗様に聞いたんですか?」

「はぁぁ!?
君さぁ……花苗ちゃんがチクるなんて、本気ですると思ってる?
今日のことだって、水樹さんが教えてくれたんだよ?
それどころか、君を庇おうとまでしてたじゃん!」
秀実の言葉に、紫苑が反応し声を荒らげた。

「もういい。
紫苑、あとは任せるよ。殺って?」
朱雀は頭をかかえるようにして伏せて言った。

「いいの?朱雀」
「うん。花苗が怖いって言うから、なるべく抑えなきゃ」
「うん、わかった!
朱雀の苦しみの分も、コイツ等に地獄を味あわせるからね!」
朱雀と紫苑。
同級生で、従兄弟で親友。
花苗のことでいがみ合うことはあるが、本当はお互いに信頼し合っている。
なので、お互いにお互いの為に力を尽くす。

「朱雀、紫苑」
「ん?なぁに、黄兄さん」
「兄さん、何?」
「秀実は、もっと地獄を味あわしたい。もうしばらくここで召使させてもいいか?」
「俺は構わないよ?
朱雀が決めて?」
「兄さんがそう言うなら従うよ」
「あぁ、ありがとな。
朱雀の苦しみを、ここで、味あわせる!」
朱雀の横に座った黄河が、朱雀の頭をポンポンと撫でた。

「朱兄ちゃん、大丈夫だよ!
俺達がいるからね!」
真白が朱雀の背中をゆっくり撫でながら言った。
「うん、ありがと、真白。ちょっと肩貸して」
そう言って、真白の肩に頭を預けたのだった。

「もちろん!でも…苗じゃないのが、申し訳ないけど(笑)」
「フフ…僕は兄さんや真白、ついでに紫苑も大好きだから、十分だよ……!」

「ついでかよ…(笑)」
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