西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
「………ったい…」
「花苗様……」
秀実は思わず後ずさる。

思いきり掴んだので、思いの外深く切った手の平。
血がかなり出てくる。
ドクッ!ドクッ!と手の平に心臓があるみたいだ。

「花苗様、昼食の用意ができましたよ!
━━━━━!!!!花苗様!!?」
そこへ水樹がノックをして入ってくる。

慌てて水樹が花苗の手の平を、持っていたタオルで押える。
「花苗様!?
誰か!!救急車!!
秀実さん!!救急車!!呼んで!!」
「あ……あ…」
秀実は花苗の突然の行動や、花苗の手の平の大量の出血でパニックになっている。

「野沢さん!!野沢さん!来て!」
「水樹さん?
━━━━━━!!!!花苗様!?」
「救急車呼んで!!」
「は、はい!!」

そして花苗は救急車で運ばれた。

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「花苗!!?」
花苗の処置が終わり処置室を出ると、黄河、朱雀、真白、紫苑、水樹が待っていた。

「朱雀…」
「大丈夫なの!?」
「うん、かなり深く切っちゃって、10針も縫っちゃった!」
「…………なんで、こんなこと…」
朱雀はもう、泣きそうだ。

「花苗、水樹から聞いた。
秀実にやられたんだな?」
「私が、秀実さんに突っ込んだの。
それで切ったの」
「苗!!庇うのなしだよ!」
「庇ってない!!本当のことだよ!」

「だったら花苗ちゃん、真実を話して?」
紫苑が花苗を見据え、静かに言った。

「わかった」
花苗は包み隠さず、三兄弟と紫苑、水樹に話した。

「じゃあ、その服を取り返す為に突っ込んで思わずカッターを掴んだんだね」
病院の椅子に座り、朱雀に包帯をさすられながら話した花苗。
朱雀は顔を覗き込み言った。

「うん、朱雀がプレゼントしてくれたワンピースだったから」
「そっか…ありがとう、花苗!その気持ちは嬉しい!」



そして屋敷に帰り、三兄弟と紫苑は秀実と対当していた。

「お前は、そんなに死にてぇの?」
黄河の言葉。
「そんなことは……」
「なんで、花苗なの?」
「は?」
「俺達に仕返しすりゃあいいじゃん!」

「それは、花苗様を傷つけるのが一番効果的だと思ったからです」

朱雀と真白の問いに、秀実もまっすぐ見て答えたのだった。
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