堅物な和菓子王子は一途に愛を貫く
和泉家の会食の時間になった。
葵さんにお誘いを受けたけど、のこのこと参加していいものだろうか。部外者だし。
タロちゃんは「全く問題ない」と言って、彩芽を引っ張っていった。
当然和食だと思っていたら、以外にもフランス料理だという。
「じいさんが洋食派やから、こういう時の食事はたいていフレンチかイタリアン」
会長には意外な一面があるらしい。
会場のお店に向かうためエレベーターを待っていると、横からヒュッと人が現れた。
「彩芽さん!」
百合ちゃんに跳びつくように抱きつかれ、二人でバランスを崩す。
「百合っ!危ないやろ」
慌てて男の人が百合ちゃんを抱きとめた。
「だって嬉しくて」
百合ちゃんがはにかむように笑った。
男の人は、百合ちゃんの頭を優しく撫で、足捻ってないか?と確認した後、
「初めまして、和泉新次郎です。百合がお世話になっております」
と礼儀正しく頭を下げた。
新次郎さんは、とても柔らかい雰囲気の持ち主だった。百合ちゃんを心配する様子を見ても、とても優しそう。兄弟でもタロちゃんとは全く違うタイプの人だ。
彩芽もサッとタロちゃんが支えてくれていた。
これからは、こうして何かあるたびに支えてくれるのだろうか。照れくさいような、安心するような不思議な気持ちがした。
新次郎さんと挨拶を交わしていると、百合ちゃんはタロちゃんと彩芽を交互に見ながら、「彩芽さん、もしかしてお義姉さんって呼んでいい感じですか?」探るように聞いてくる。
「ああ、そうや」
タロちゃんが大きく頷いた。
「嬉しい!彩芽さんが本当のお義姉さんになるなんて」
今度はそっと、抱きついてくる。
「和泉家では私の方が後輩だから。百合ちゃん頼りにしています」
彩芽もそっと抱きしめ返した。