今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 この娘の未来には、喜びと数多の微笑みだけがあって欲しい。万にひとつでも戦火に脅かされることなどあってはならない。リリーの笑顔を守るため、俺はこれからも騎士団長として一層邁進してゆく。
 リリーを守るのは、父親であるこの俺だ――。
 入場ゲートに隣接するチケット売り場に辿り着くと、最後に柔らかな亜麻色の髪をサラリと指の隙間に滑らせて、一旦リリーを地面に下ろす。
「いらっしゃい。客さんたち、何人だね?」
「大人ふたり、子供ふたりだ」
 チケットを購入するべく、窓口のスタッフに人数を伝え、一歩横にずれて正面の場所をロベールに譲る。
「……ん!? また俺が払うのか!?」
「それ以外に誰が払うんだ?」
 当然、ここの代金も一国の君主でありながらお忍びで観光を満喫中のロベールに持たせる。休暇中の俺たちに割って入り、しれっと俺に護衛役までさせているのだから、この後の観覧車と土産の代金を負担させたとて、まだ釣りがくるというものだ。
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