ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
「悠くん、先に手を洗おうね」

はーいと元気よく返事した悠真が走っていく。

「荷物片付けたら私も手伝うね」

そう母に言って、悠真を追いかける。

悠真が生後半年位の時、1人で育てていくと決心した私に何も聞かず、それならここで暮らしなさいと言ってくれた父と母。

2人がいなかったら、悠真をここまで育てることは出来なかっただろう。

だから、手が空いたら旅館を手伝うことで少しでも恩返しが出来たらと思っている。

一足先に洗面台に着いた悠真が叫んでいる。

「ままー!ひとりでちゃんとあらえたよ!」

「悠くん何でもできちゃうね」

悠真のサラサラとした髪を撫でる。少し茶色がかっていて、私の髪質とそっくりだ。

でもくっきりとした二重に、筋の通った鼻は"彼"と同じ。

今までもふと悠真を見る時、彼の面影と重なることがあって、ドキッとさせられることはあった。

きっとこれから成長すればもっと似ていくんだろう。

我が子ながら将来はモテるんだろうなと親バカは止まらない。
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