ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
手洗いを終えた悠真は、書斎にいる父の所へ向かった。

「じーじただいま!」

「おぉ、悠真帰ってきたのか」

「きょうね、ぼくにんじんたべたんだよ!えらいでしょ」

自慢げに話す悠真を見て父も笑う

「さくらもおかえり。悠真はここで遊ばせて置いていいよ」

「いつもごめんね。お母さん手伝って来る」

帰ってきたら父のところで遊ぶのが悠真のルーティンなのだ。父も可愛い孫と遊ぶのは満更でも無いらしい。

悠真を父に預けて、離れの自宅を抜けて本館に向かう。

今日はお客様が5組来られているから、今頃は夕食の準備でみんな忙しいだろう。

着物を着てから、キッチンに入ると従業員の洋子さんが準備をしていた。

「あら、さくらちゃんおかえり。悠くんは俊さんのとこ?」

「そうです、いつもみたいにすぐ父のところへ行きました」

洋子さんは10年くらい前からうちで働いてくれている。大学生と高校生のお子さんがいて、悠真を育てる時も沢山アドバイスをしてくれた。

「さくら、今日のメインは鯛のお鍋だから、具を切っておいて頂戴」

「分かった、私たちの分も一緒にやっておく」

ようやく冬が終わりかけているが、まだ肌寒く、こんな日の鍋はお客様の疲れも癒してくれるし、体も温まるだろう。母の鍋はダシも効いていて、お客様からの人気が高い。

自分たちの夕食準備もできるところから順にやっていく。
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