ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
それにしても創立記念パーティーは規模が凄いわね。

大企業なだけあって、社員から他企業の役員まで、沢山の人が集まる。

ホテルを貸し切るのはいいのだけど、ホテルの人も大変よね。

ついつい、旅館の忙しさを知っているから、従業員の心配をしてしまう。

気持ちを切り替えて資料を作ろうとした時、部がザワザワする。

「今日は本社でのお仕事なのね」

「相変わらず素敵ね…」

何かと思い、遠くに目を凝らすとそこには専務の姿があった。

神は二物を与えないと言うが、本当に不公平なものである。

どこか外国の血が入っているような風貌。切長の二重線が入った綺麗な目、筋の通った鼻、見るものの欲望を掻き立てる唇。

完璧な人だった。それに加えて、御曹司で大企業専務とくれば、落ちない女性はいないだろう。

その肩書きだって、家柄で築かれたものではなく、実力があるからこそのものである。

彼は普段から海外を飛び回り、多くの契約を獲得してきた。

婚約者の噂があるにも関わらず、女性社員はいつも彼が現れるたびに、色めく。

颯爽とホールを歩く姿に、社員全員が見惚れているように感じる。
 
きっと見るものを惹きつける力を持っているのね。

彼は周りに魅力を振りまきながら、専務室へ入っていった。

見ている場合じゃないわ、資料つくらなきゃ。

そう思ってパソコンを開く。





パソコンを打つ手を止めると、周りには人がまばらで、退勤時間はとうに過ぎていた。

何かやってると全く周りが見えなくなっちゃうのも悪いくせね。

途中まで作成した資料を保存し、電源を消す。

それから、いつもの私のルーティーンが始まる。

まずは、休憩室に寄って足りないものを確認する。

茶葉やお菓子の補充、あとはたまにソファーカバーなどのクリーニングなどもする。

私がやらなくてはいけないという決まりはないけど、やらないと気持ちが落ち着かない。

私も快適に過ごしたいし、誰かが快適だと思えるのならばそれで十分だった。

んーっと…今日はほとんど揃ってる。ストローが足りなくなりそうだから補充しとこうかしら。

休憩室はそのくらいで、あとは大丈夫そうね。
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