ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
その日の夜、仕事を終えた亮真さんたちが旅館に戻って来た。

明日の朝には旅館を経つ予定だから、次に来るのは来週か…。

あれ?私、今寂しいって思った…?

亮真さんと会ったことで、すっかり4年前に戻ったような錯覚に陥っていた。

「馬鹿ね、無理に決まってるじゃない」

思わず言葉が出る。

4年前とは違って女らしさもないし、好かれる要素が1ミリもない。

亮真さんがここまで必死になるのだって、悠真がいるからだっていうのに。

それでも亮真さんと悠真が一緒に遊んでいる様子がもう一度みたい、心のどこかでそう願っている自分もいた。

「さくら、お出迎えした時に相手の方から声をかけてくださったわよ、夜ご飯のあと少し話せないかって。大丈夫よね?あと、向こうの方社長さんだったのね。お母さんびっくりしちゃったわ」

「え、社長?彼が言ってたの?」

「そうよ、さくら知らなかったの?」

この4年の間に社長になってたなんて知らなかった。

そりゃあ自分の跡を継いでくれる子供が必要になるはずよね。

亮真さんの必死な様子に少し納得してしまった。

「人当たりは良さそうな方だったわ」

「うん、良い人…だよ」

「まぁ、さくらがどうしたいのかは知らないけど、お母さんは悠くんが来てくれただけでも幸せだし、できる限りさくらのことも手伝うわ。でも、今後どうしていきたいのかはさくらがきちんと考えなさい」

「うん、そうだね…」

一生このまま暮らしていくと思っていたのに、突然のことばかりで今後のことが想像できない。

悠真の為にも、父親は必要なのはわかっているけど…。

私の気持ち一つで決めていいことではないのは確かよね。

今日の夜のことを考えると、なんだか落ち着かない。
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