ままになったら極上御曹司に捕まりました?!

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注文した料理を食べ終え、外に出る。

財布を出そうとする前にさっさと亮真さんが支払いを済ませてくれた。

自分の分を出そうとしたら「俺といる時は財布を持ってくる必要は無い。どうせいつかは一緒な暮らすんだから」といわれ、むず痒い気持ちになった。

亮真さんと一緒に暮らすなんて…想像も出来ない。

まだ仕事が残っているらしい亮真さんとは店の前で別れ、旅館へ戻る。

落ち着いてくると、亮真さんの口車に上手いこと乗せられてしまったように感じてくる。

もちろん、彼が嘘を言っていたわけではないがなんだか流されてしまった…。

でもその反面、断ろうと思えば断れたはずの状況であったことも確かだった。

そこで断ることをしなかったのは、私がまだ亮真さんに気持ちが残っていたからなのかもしれない。

全て忘れたと思っていたけど、一度蓋を開けたらもう二度と忘れたフリができないということを、初めて知った。

そして、このことを両親にどうやって説明すればいいか考えていると、いつの間にか旅館に着いていた。

「あら、さくら帰ったの。おかえりなさい」

「ただいま。お母さん、後で相談があるんだけどいい?」

「大丈夫よ、お茶でも入れておくわね」

「ありがとう」

…正直に全て言うしかないわよね。

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「…えぇっ、じゃああの方が悠くんのお父さんってことなの?!」

「ずっと言えなくてごめん」

母に亮真さんのことを打ち明けると、案の定驚いた表情をしていた。

「さくらが妊娠してるって言いに来た日あったでしょ。一人だけで育てるのは本当に大変だから、相手がいない状態で産むのはやめた方がいいってお母さんは思ってたの。でもさくらがどれだけお腹の子を大切にしてるかは、嫌という程伝わってきたわ。だからお父さんも私も、さくらの力になるって決めたの」

4年前、まだ悠真がお腹にいる時、実家に帰ってきた時の情景が蘇る。

「相手の人のことは、さくらが話してくるまで聞かないでおこうってお父さんと決めたわ。さくらだってちゃんとした大人だもの。まぁ、大事な娘を放ったらかして何してくれてるんだって、お父さんは乗り込みに行きそうだったけどね」

普段温厚な父は、怒ると昔から怖かった。
でもその分、愛情も懐も広かった。

「お父さん、私と話してる時は無表情だったから何言われるか緊張したもの。だけど、『ならうちで暮らせばいい』って言うもんだから拍子抜けたわ」

「お父さんもきっとなんて言えばいいのか分からなかったのよ。…でも、相手の方毎週来るって仰ってたんでしょう?お父さん大丈夫かしらね、殴り込みに行かないといいけど。私からそれとなく話してみるわ」

「お母さんありがとう」

「でも私だって、相手の方がどういう人なのかによってはまだ分からないわよ?4年もさくらと悠くんを放っておくなんて、許した訳では無いもの」

うふふといって、立ち上がる母。
少しだけこの状況を楽しんでいるようにも思える…?

でもこんなことになったのは亮真さんだけの責任では無いから申し訳ない気持ちになる。


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「母さんから聞いたよ。悠真の父親が来るんだって?宮代コーポレーションの人らしいな」

旅館から戻って来た父が早速口を開く。

「う、うん。まだ詳しいことは決まってないんだけどね」

「お父さんは、さくらの気持ち次第だ。どうしたいのかは自分で決めなさい」

そう言って父は書斎に入っていく。

…言い方は素っ気ないけど、でも私の気持ちを大切にするってことよね。

こんなに自分勝手な娘なのに、両親には頭が上がらない。

とりあえず、来ること自体は断られなかったけど…。

でもこれからどうなるのか、想像もつかない。
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