大失恋したら年下王子様の溺愛が待っていました。

「…凛々サン、無理してる」

スッと立ち上がり、王子はわたしの正面に。

「無理なんてっ」

「俺、見ちゃったんだよ」

「…え?」

「彼氏が凛々サンに暴言吐いたところ」

「っ、」

一歩一歩、滲み寄られてとうとう壁に追いやられる。

「あんな奴のことなんて忘れなよ。…俺が、居るよ?」

堪らず俯くわたしの顎をその長くて綺麗な指でクイと持ち上げられ、否応にも王子の眼と眼が合う。

「…や、めて、よ…」

悔しくて悲しくて、何よりも惨めで、ふたつの瞳から両頬にツ…と涙が伝う。

「凛々サ…」

「もう、嫌なの。わたしの病気は、誰にも理解されないの…っ。相手にとって、重荷でしか、ないのよ。…もう、帰って。独りにして…」

ポロポロと流れる涙を拭うことも出来ず、せめてもの抵抗として王子から目を逸らした。

「俺は、そんなことで凛々サンのこと嫌いになんてならないよ」

「そんなのっ、何も知らないから言えるのよっ!」

「そうだよ。俺はまだ凛々サンのこと、よくは知らない。だから教えてよ。…全部、教えて?嫌いになんて、ならないから」

「王子は、まだ子供だから解らないのよっ」

「…もう、子供じゃねぇよ」

「なっ…ん…っ!」

王子の双眸に蒼い炎が宿ったかと思った瞬間、後頭部に手を回され強引に唇を奪われた。

繰り返されるそれは段々と深いものになってゆき、次第に思考回路が麻痺して何も考えられなくなっていく。

銀糸を紡ぎながらやっと唇が解放されたと思ったら、今度はその熱を持った唇を首筋に当てられ痺れる程の快感に思わず声が漏れる。

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