桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

「陽向、おっはよー!」

いきなり明るい声がして見てみると、元気な男の子が陽向くんの元へと近づいてきていた。

入学早々、制服を着崩している。

「おはよう、陽向」

その男の子の隣には、目がクリッとした可愛い女の子。

長い髪をポニーテールにしている。

「おはよう」

陽向くんは、友達なのかその2人に挨拶を返した。

「なぁなぁ、陽向!」

早速、制服を着崩している男の子が陽向くんに身を乗り出してきた。

「さっき、となりの子と話してたけどなんの話してたの? てか、いつの間に仲良くなったんだよ?」

「‥‥‥いろいろとあって」

その子の問いかけに、なぜか言葉を濁した陽向くん。

どうして、そう言うのだろう?

昨日、初めて会っただけなのに‥‥‥。

「いろいろってなに? 気になるじゃん!」

「陽向、教えてよ〜!」

男の子につられて、ポニーテールの子もいう。

私も気になってる。

それに、もう1つ気になっていること。

昨日、きみが言ったあの言葉。

ーー『やっと会えた』

なぜ、きみはこんなことを言ったんだろうって。

不思議に思い陽向くんを見ると、ふいに視線が合いウインクをされた。

「それは、秘密ということで!」

‥‥‥。

完全に謎に包まれてしまった。

「もぅ〜! 陽向のケチ! いつか絶対教えろよな」

「分かったから、ケチって言うのはやめて」

「教えない陽向が悪いんだからな」と軽く文句を言う男の子。

そんな2人の様子を笑いながら見ていたポニーテールの女の子がふとこちらを見た。
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