学園怪談
「ウエエエエン!」
 どこからか鳴き声のような声が聞こえて来た。
「こ、これは一体?」
「はっ! マリオ、マリオの声だわ!」
 な、なに! マリオのピンチか!
「た、大変だ。直ぐに助けなきゃ!」
 そして俺達は一斉に部屋から飛び出ると、奥さんの後を追ってマリオの救出へと向かった。
 ……まったく、マリオのくせに助けられる側にまわってんじゃねえよ。
「ウエエエエン」
 マリオの声がはっきりと聞こえる部屋の前まで来た。
「マ、マリオ! マリオ!」
 奥さんは半狂乱になってしまったようにドアを叩く。
 中からはマリオの鳴き声が聞こえてくるが、ドアにはカギがかけられているらしく、中に入る事は出来そうもない。
「小峰さん! 鍵を開けてください!」
 小松っちゃんの言葉に、執事の小峰さんはポケットからハンカチに包まれた鍵束を取り出すと、直ぐに扉を開けてくれた。小峰さんを先頭に、俺、小松っちゃん、翔一、奥さん、シェフの順番で部屋に入る。
「マリオ様!」
「ウエエエエ! マンマ!」
 中のマリオに注意してドアを押し開けると、泣き顔のマリオが俺にぶつかってきた。
「おお~よしよし、大丈夫かいマリオ? ほ~ら、もう心配ないからね」
 俺はマリオを抱き上げたが、股の辺りに暖かい物を感じて直ぐに奥さんに放り出した。
「ああ! 無事で良かったわマリオ! ごめんね目を離してしまったばかりに……。もう大丈夫、大丈夫だからね……」
 さすがは母だ。お漏らしの生暖かい不快感など全く気にもしない。
「でも何でマリオは閉じ込められ……うわっ、冷たい!」
 俺は入り口の所に出来た小さな水溜まりに足を踏み入れてしまい、その冷たい不快感に思わず飛び上がった。
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