彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
健斗のお母さんに夕飯をご馳走になって帰ろうとすると、ちょうど健斗のお父さんが帰ってきた。
健斗のお父さんは大きな会社の社長さんでいつも忙しそう。だからしょっちゅうこの家に出入りしていても中々顔を合わせることがない。
「やあ、麻由子ちゃん。いつも健斗が世話になって悪いね」
「こんばんは、おじ様。こちらこそ今日もお夕飯ご馳走になっちゃいました」
「もう帰るの?」
「はい」
「だったら、ちょうどいい。将和、麻由子ちゃんを送ってやって」
背後にいる人におじ様が指示を出した。
「はい、社長」
そう返事をしたその人は、ーーーー10年ぶりに見た私の初恋のひとだった。
「やあ、麻由子ちゃん。久しぶり。ずいぶん大きくなってーー見違えたよ」
高橋将和(たかはし まさかず)さん。
健斗の家の隣に住んでいるというか住んでいた私の初恋の人である。
「あー、えっと、お久しぶりです」
いきなりの再会に驚きすぎて心と頭と身体が追いつかない。
「送るよ。支度はいい?忘れ物はない?」
「え?あ、ありませんっ」
あわあわと挙動不審な私に将和さんはくくっと笑顔を見せた。
「じゃあ行こうか。社長、明日からよろしくお願いします」
頷いた健斗のお父さんに見送られ私と将和さんは夜の道を歩き出した。
ここからうちまで1ブロックだから車は必要ない。というか送ってもらうのも申し訳ない距離だ。
健斗もいつも送ってくれるけど。
「麻由子ちゃん、高校生だっけ?」
「はい、高3です」
「そうかー、最後に会ったのはまだ小学生だった頃だもんなぁ。いや、ホントに大人になって綺麗になったね」
綺麗になったって。
私の胸がドキンと高鳴る。
「えーっと、将和さんは今どこに?」
わたしの記憶では彼は大学卒業後に大学院に進みその後、健斗のお父さんの会社に就職して地方勤務していたはずだ。
結婚したとは聞いていないからたぶん独身。
「九州、大阪と回って明日から本社勤務なんだ。だからしばらくは実家暮らしの予定。またご近所さんになるからよろしくね」
そっか、戻ってきたんだ。
これからはまた会えるかもしれないと思うと胸が弾む。
「よろしくお願いします」
「麻由子ちゃんは高3ってことは受験生?」
「はい、地元の大学に行こうかと思ってますけど、将来のこととかビジョンないから親に怒られてます」
「うーん、そっか。ああ、俺でよかったら聞きたいこととかあったら何でも聞いて」
初恋の人ににこりと微笑まれ心臓が爆発しそうになったところで自宅に着いた。
「はい、到着。じゃあ勉強頑張るんだよ」
そう言って将和さんはさっさと来た道を戻って歩き出してしまった。
近い自宅が恨めしい。
「ありがとうございましたっ」って背中に向かって叫ぶとひらひらと手を振ってくれた。
そういえば、ぼうっとしていたから気がつかなかったけど、連絡先知らないのにどうやって相談すればいいのよって話!
健斗のお父さんは大きな会社の社長さんでいつも忙しそう。だからしょっちゅうこの家に出入りしていても中々顔を合わせることがない。
「やあ、麻由子ちゃん。いつも健斗が世話になって悪いね」
「こんばんは、おじ様。こちらこそ今日もお夕飯ご馳走になっちゃいました」
「もう帰るの?」
「はい」
「だったら、ちょうどいい。将和、麻由子ちゃんを送ってやって」
背後にいる人におじ様が指示を出した。
「はい、社長」
そう返事をしたその人は、ーーーー10年ぶりに見た私の初恋のひとだった。
「やあ、麻由子ちゃん。久しぶり。ずいぶん大きくなってーー見違えたよ」
高橋将和(たかはし まさかず)さん。
健斗の家の隣に住んでいるというか住んでいた私の初恋の人である。
「あー、えっと、お久しぶりです」
いきなりの再会に驚きすぎて心と頭と身体が追いつかない。
「送るよ。支度はいい?忘れ物はない?」
「え?あ、ありませんっ」
あわあわと挙動不審な私に将和さんはくくっと笑顔を見せた。
「じゃあ行こうか。社長、明日からよろしくお願いします」
頷いた健斗のお父さんに見送られ私と将和さんは夜の道を歩き出した。
ここからうちまで1ブロックだから車は必要ない。というか送ってもらうのも申し訳ない距離だ。
健斗もいつも送ってくれるけど。
「麻由子ちゃん、高校生だっけ?」
「はい、高3です」
「そうかー、最後に会ったのはまだ小学生だった頃だもんなぁ。いや、ホントに大人になって綺麗になったね」
綺麗になったって。
私の胸がドキンと高鳴る。
「えーっと、将和さんは今どこに?」
わたしの記憶では彼は大学卒業後に大学院に進みその後、健斗のお父さんの会社に就職して地方勤務していたはずだ。
結婚したとは聞いていないからたぶん独身。
「九州、大阪と回って明日から本社勤務なんだ。だからしばらくは実家暮らしの予定。またご近所さんになるからよろしくね」
そっか、戻ってきたんだ。
これからはまた会えるかもしれないと思うと胸が弾む。
「よろしくお願いします」
「麻由子ちゃんは高3ってことは受験生?」
「はい、地元の大学に行こうかと思ってますけど、将来のこととかビジョンないから親に怒られてます」
「うーん、そっか。ああ、俺でよかったら聞きたいこととかあったら何でも聞いて」
初恋の人ににこりと微笑まれ心臓が爆発しそうになったところで自宅に着いた。
「はい、到着。じゃあ勉強頑張るんだよ」
そう言って将和さんはさっさと来た道を戻って歩き出してしまった。
近い自宅が恨めしい。
「ありがとうございましたっ」って背中に向かって叫ぶとひらひらと手を振ってくれた。
そういえば、ぼうっとしていたから気がつかなかったけど、連絡先知らないのにどうやって相談すればいいのよって話!