愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「また具合が悪くなったんじゃないのか?」

「……い、いえ……今のは別に、」

「具合が悪いのに、無理して料理なんてしなくても。顔も赤いし、熱があるんじゃ……」

そう言いながら彼は、見上げているわたしの額に自分のものをコツンと合わせた。

「っ…!」

「熱はないな」

「ね、熱なんてないです…!料理をしていたせいでちょっと暑くなっただけで……さっきのも別に貧血とかじゃなくて、ちょっと疲れたから座ろうかなーと思っただけで……」

本当に熱でも出たんじゃないかと思うほど体は熱いし、顔なんて耳まで真っ赤。動揺しすぎて涙もうっすらにじんでいる。
それでもなんとか必死に「具合が悪いわけじゃない」と説明すると、彼は整った眉をきゅっと寄せて唸るように言った。

「休んでいろと言っただろう。疲れるほど料理をするなんて……まったく、また倒れたらどうするんだ」

「すみません……。でもせっかく早く帰って来られたんですから、なにか栄養があるものを祥さんに食べて欲しくて……。あ、わたしならもう大丈夫です。休んでずいぶん元気になったんですよ?」

また叱られるかなと、そろそろと上目遣いに見上げると、祥さんが目を軽く見張った。
言い訳なんかして、と思われたのかも。

「えっと……そうだ!祥さん、お味見をお願いできますか?」

わたしはそう言って彼の腕の中からさりげなく脱出すると、鍋のフタを開けた。ふわりと湯気が立ちのぼる。

「うまそうだな。……ポトフか?」

わたしはそれには答えず、お玉でスープとじゃがいもをすくい、小鉢に入れて箸と一緒に彼に差し出した。
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