あなたには責任があります!
プロローグ
 胸のあたりにキュークツさを覚えて、美花梨は目を覚ました。
 服を着たままだ。だから眠りが浅かった。
 羽毛布団に潜ったままシャツとデニムを脱いで、キャミソールのすきまに手を入れる。背中のホックをはずし、肩ヒモから器用に腕をくぐらせて、ブラだけを外に放り出した。
 ベッドサイドに置かれたミネラルウォーターが目に入って、ここがタカフミの部屋だったことをおぼろげに思い出す。
「美花梨ちゃん先輩、はい、水。トイレはもういいですか? ぼくあっちにいますから、気持ち悪くなったりしたら呼んでくださいね」
 そう言って羽毛布団のうえからぽんぽん叩き、ベッドルームを出ていくタカフミのうしろすがたが、やけに鮮明に蘇った。
 ベッド、返そう。酔いは冷めたんだから、わたしはリビングのほうで寝ればいい。
 のっそり起き上がったものの、わずかに身体がふるえた。
 部屋には暖房がほのかに効いているとはいえ、1月の深夜において、身にまとう布が少なすぎた。ぬくもりが恋しくて、羽毛布団に同化したくなる。
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