天城兄弟、お見通し。




「蓮斗……なんで誰とも付き合わないんだろ」



ぽろり、こぼれたのは純粋な疑問だった。

入学して半年もまだ経っていないけれど、告白する人は引くて数多。

告白現場に遭遇したのは今日が初めてでも、噂はこれまでだってたくさん耳にしてきた。美人で有名な先輩の名前があがってることも少なくなかったもんね。


「んー…まあ、れんはそういうの疎いほうだしね」

「でもナナくんも、トクベツな人作らないじゃんか」



きっと素敵な人に出会う機会は人より多いはずなのに、ふたりの隣にはお互いがいるだけで、トクベツな人はいないみたい。


かっこいいのにもったいない。

そう言うと、ナナくんは一瞬驚いたように目を瞬かせて、それから。



「じゃあ、うるちゃんが僕のものになる?」




──なんて。


冗談なのか本気なのかわからない声色で言うから、不覚にもドキドキしてしまった。


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