天城兄弟、お見通し。
「っこら、すぐ抱きつかないで!」
「うるちゃんと僕の身長差がちょうど良いからつい」
「ついじゃないからっ」
家では多少多めに見ている(見てるつもりないけど!)ことでも、学校じゃ話は違うわけで。
いつもみたいに抱きついたナナくんをべりっと剥がして距離を取ると、「ごめんって、睨まないでよ」とぜんぜん反省していなさそうな声で言われた。
「最近多いよね、れんのアレ」
ナナくんが指す「アレ」は、言わずもがなわたしたちの視界に映る告白シーンのこと。
蓮斗は面倒くさがり屋だし、恋愛ごとが得意じゃなさそうだけど、断るときは誤魔化したり曖昧にしたりしないから、女の子たちも告白しやすいのかもしれない。
……て、いうか。
「ナナくんも人のこと言えないでしょ……? 3年の先輩振ったって噂、あずちゃんから聞いたんだからね」
「ふは。うるちゃんの友達情報、いつも早すぎて怖いや」
そりゃあ、あずちゃんたちはナナくんと蓮斗のファンだからね。
天城兄弟のことに関しては、一緒に住んでいるわたしよりあずちゃんとこっぴのほうがずっと詳しいと思う。