エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 千春は飛び上がって喜んだ。

「まぁ昼間のパーティーだし、無理をしなければ大丈夫だろ」

 自分がどうかはさておいて千春の体調をまず気にしてくれている。やっぱり彼は優しいと千春は思う。

「よかったな千春ちゃん」

 康二が微笑んだ。

「ああいう場は確かに気を張るから疲れるが、口うるさい主治医と一緒なら大丈夫だろう。そうだ、清司郎部屋を取れ。泊まって来たらいい」

「……部屋を?」

 清司郎が眉を上げた。

「会場のプライマリーホテルは日帰りできる距離だが、立食パーティーだから、疲れるだろう。千春ちゃんの身体のことを考えたらその方がいい。そうしろ」

 勝手に決めて康二はビールをぐいっと飲み干した。

「……まぁ、それもそうか」

 清司郎が呟く。
 突然の少し意外な展開に、千春の胸がドキンとした。
 招待されたパーティーの後、ふたりでそのままホテルに泊まる。普通の夫婦ならなんでもないことが、千春と清司郎にとってはそうではない。
 パンフレットを読むフリをしながら千春は清司郎を盗み見た。
 彼はそれについてどう思っているのだろう。
 部屋はふた部屋取るのだろうか。
 それとも……?
 でもその表情からはなにも伺いしれなかった。

「そうするよ」
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