エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 病院と関わりが深いユウキ製薬の社長を敵に回すのは得策ではない。
 さすがに社長の個人的な事情だけで、すぐに影響が出ることはないだろうが、それでもまったくなにもないとは言い切れなかった。
 だがそれでも、千春の身の安全には替えられないという清司郎の決断を院長である父も支持してくれた。
 少し強い風が吹いて、清司郎の自宅の木々がざざざと揺れる。その隙間から、チラリとピンク色が垣間見えた。
 千春だ、と清司郎は思う。
 昼食の後、午後の散歩に出たのだろう。
 清司郎は腕時計をチラリと見て、午後の診察までまだ時間があることを確認すると、窓を閉めて部屋を出た。
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