エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 結城芳人。
 あの男に、千春はずっと自由と将来に対する希望を奪われ続けてきたのだ。
 清司郎は千春を救うためにここまでやってきたというのに……!
 千春は、成長するにつれ花が綻ぶように美しくなっていった。はじめは彼女を妹のように思っていた清司郎の気持ちも自然と変化していった。
 それを、愛情と言うならばそうだろう。
 清司郎は誰よりも彼女を大切に思っている。
 でもそれよりももっと強い想いが清司郎の中には存在する。彼女は自分の原点であり、すべてだ。
 ……本当は、昨夜この気持ちを打ち明けるつもりだった。
 見合いはしないでくれ、君を愛している、俺の手で君を幸せにしたいと。
 だが……。

『なにも望まない』

 彼女から出た強い言葉が清司郎を沈黙させ、自分を睨む暗い瞳がどんな想いも彼女の心には届かないことを清司郎を悟らせた。
 それでも……。
 どうしても彼女を守りたい。
 それがたとえ彼女自身の意志に背くことだとしても。千春に笑顔を、希望を取り戻したい。
 無理やりにでも、法的に彼女を守ることができる夫という立場を手に入た今、そのスタートラインに立ったのだ。千春が入っていた扉を見つめて、清司郎はそう自覚していた。
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