エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~

清司郎の戸惑い

 窓の外、千春がいる離れの明かりが消えたことを確認してから、清司郎は自室のカーテンを閉めた。
 彼女がこの家へ来て二週間。
 随分と顔色がよくなって、表情も戻り始めた。さっきのように笑顔が出ることもあるくらいに。
 小夜の話によると最近は鯉に餌をやるだけではなく、小夜と一緒に花の手入れをしたり家庭菜園をしたりしているという。
 大好きな本をまた読み始めたのも清司郎にとっては嬉しいニュースだった。
 生きる力を取り戻してゆく彼女が、清司郎の目に眩しかった。まだ油断は禁物だと思いながらも清司郎自身、心が浮き立つのを止められない。
< 59 / 193 >

この作品をシェア

pagetop