再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「てっきりお二人は付き合いだしたんだと思っていました」
「最近すごく仲良かったですものね」

こういう時の女性の反応って素早くて、あっという間に数人のスタッフが集まって質問攻撃が始まる。

「この間のビアガーデンの後急に親しくなったから、あの後何かあったのかなって思いました」
「そうですよ、2人で帰って行ったし」
それでどうなんですかと、こちらを見る。

「何もないですよ。タクシーで家まで送ってもらっただけで、何も」
「本当に?」
疑わしいぞって視線が私に向いている。

「本当ですよ。過去の誤解が解けてただけです」
「「へー」」

大好きであこがれ続けた初恋の上司。私の暴走で辛い思いをさせたのに謝ることもできずにずっと心に抱えてきた重荷がやっと降ろせて、尊敬できる上司に戻ったって感じ。
それ以上を望んではいけないと自分に言い聞かせている。

「いいなー和田先生。皆川先生とも、杉原先生とも仲良くて」
「そんなこと」
ないよとは言えなかった。

確かに、今の私は人に恵まれている。
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