再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「心配なんだよ」
きっと叱られるんだろうと思っていたのに、新太先生の声はなぜか優しい。

「今できることはすべてやりたい。あとで悔いを残すようなことはしたくない」

その気持ちは私も同じ。それでも、ただわがままで言っているつもりはない。
本当に必要ないと思うから言っているわけで・・・

「もちろん、このまま回復する可能性だってある」
「うん」
そう思うから私は拒否している。

「しかし、どんなに小さくても悪化する可能性もある」
「・・・」

「まだ原因の毒物が特定されてない今、100パーセント大丈夫だとは誰も言えない」
「だから、もう少し」
待ってくれれば原因物質も特定できて、私の体も回復に向かっているって確証が持てるはず。

「待っている間に何かあったらどうする?」
すごく心配そうな顔。

「それでも・・・イヤです」
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