再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
今まで28年生きてきた中で、私は三度の転機を体験した。

一度目は大学一年生の時。
突然両親を失い、兄弟のいない私は天涯孤独になった。

二度目の転機は研修医一年目の冬。
不器用で要領の悪い私は大きなミスを犯し、その責任を当時の指導医に取らせてしまった。
この時の後ろめたさが私にとっての人生最大の古傷。このトラウマが私を卑屈な人間にした。

そして、三度目の転機は一年前。
当時の同僚が業者と癒着まがいのことをしているのに気づいた私は上司に報告した。
まだ現金の授受が行われる前だった為表沙汰にはならなかったが、当事者である同僚は減俸処分を受けた。
あとから考えてみれば、処分された同僚は教授の息子で病院の中でも目立つ人だった。順調に行けば数年後には部長になって、教授にだってなれるはずの人。私はその人の経歴に泥を塗ったのだ。

しばらくして彼の反撃が始まった。
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