エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める
《そういや肝心なとこ確認しなかったな。いるなら俺の出る幕ないもんな》
文くんの出る幕……?
小さく首を傾げつつ、否定する。
「いないよ。今のは……」
《春菜さんの思い込みってこと?》
「うーん、そうとも言えないっていうか」
『春菜さん』とは私の母の名前だ。
私が文くんの両親を名前で呼ぶように、文くんも私の親を『春菜さん』『努さん』と呼んでいる。
私は意を決して再び口を開く。
「実はね。さっき、蓮司さんと会う流れになりそうで……」
《……ああ。それでさっきの春菜さんの反応があれか》
文くんは元々冷静沈着、頭脳明晰だ。私が一話せば十を理解してくれる。
「うん。咄嗟に言っちゃったの。付き合ってる人がいるって。疑ってはいないみたいだった。けど、お母さんが『会いたい』って。蓮司さんの件でもなかなか強引だったから、偽装彼氏ってバレるのも時間の問題っていうか」
自分の浅はかさに嘲笑しながら言葉を詰まらせる。
自分で言うのも悲しいが、私はあまり機転が利く方ではないと思ってる。結果、今の状況になっているわけで。
だからこそ、食事だけって蓮司くんと会って仮に結婚する方向へ話が向いた際に切り抜けられる瞬発力はない。それを免れただけよしとしなくちゃ。
「まあでも考えなしに言っちゃって、身から出た錆ってところだもんね。平気。どうにかするから」
《バレそうになったら、俺が行くよ。ミイの家》
「……え?」
一瞬、なにを言われたかわからなかった。
文くんが私の家に……?
戸惑いを隠せずにいたら、文くんがさらに噛み砕いて言った。
《俺が彼氏になって行くよ》
彼氏になって……?
少しずつ思考が動きだし、ひとつずつ落ち着いて言葉の意味を考える。しかし、行きつく先はどう考えてもホームパーティーに話していたこと。
「い……いや、待って文くん。この間の話は冗談じゃ」
《本気だったけど?》
即答されて瞬時になにも返せない。
以前していた話――文くんが私と結婚して、他の縁談を断る理由になってくれるっていう……。
文くんの出る幕……?
小さく首を傾げつつ、否定する。
「いないよ。今のは……」
《春菜さんの思い込みってこと?》
「うーん、そうとも言えないっていうか」
『春菜さん』とは私の母の名前だ。
私が文くんの両親を名前で呼ぶように、文くんも私の親を『春菜さん』『努さん』と呼んでいる。
私は意を決して再び口を開く。
「実はね。さっき、蓮司さんと会う流れになりそうで……」
《……ああ。それでさっきの春菜さんの反応があれか》
文くんは元々冷静沈着、頭脳明晰だ。私が一話せば十を理解してくれる。
「うん。咄嗟に言っちゃったの。付き合ってる人がいるって。疑ってはいないみたいだった。けど、お母さんが『会いたい』って。蓮司さんの件でもなかなか強引だったから、偽装彼氏ってバレるのも時間の問題っていうか」
自分の浅はかさに嘲笑しながら言葉を詰まらせる。
自分で言うのも悲しいが、私はあまり機転が利く方ではないと思ってる。結果、今の状況になっているわけで。
だからこそ、食事だけって蓮司くんと会って仮に結婚する方向へ話が向いた際に切り抜けられる瞬発力はない。それを免れただけよしとしなくちゃ。
「まあでも考えなしに言っちゃって、身から出た錆ってところだもんね。平気。どうにかするから」
《バレそうになったら、俺が行くよ。ミイの家》
「……え?」
一瞬、なにを言われたかわからなかった。
文くんが私の家に……?
戸惑いを隠せずにいたら、文くんがさらに噛み砕いて言った。
《俺が彼氏になって行くよ》
彼氏になって……?
少しずつ思考が動きだし、ひとつずつ落ち着いて言葉の意味を考える。しかし、行きつく先はどう考えてもホームパーティーに話していたこと。
「い……いや、待って文くん。この間の話は冗談じゃ」
《本気だったけど?》
即答されて瞬時になにも返せない。
以前していた話――文くんが私と結婚して、他の縁談を断る理由になってくれるっていう……。