外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「通りがかりに、一方的な中国語と困っているような日本語が聞こえてきたので、これは仲裁に入ったほうが良さそうだと思って、つい」
どうやら英語が通じず困っているところを見ていたようだ。だとすれば、彼が言うように本当にタイミングが良かった。
「そうだったんですね。英語が通じなかったので、どうしようかと思っていた時で。なので、本当に助かりました」
そう言ってみて、さっきの女性は一体何を言っていたのだろうと気になる。
「あの、さっきの方、何か困っていたんですか?」
「ご主人がパスポートを紛失されたそうで、警察に行きたいから道を知りたいと。届いていなかったらどうしたらいいのかと心配もされていたので、中国大使館の場所も教えておきました」
「パスポートを……それは大変な事態ですね。無事に見つかればいいですけど」
旅行に来てパスポートを紛失したというなら、きっと落ち着いてはいられない。かなり焦っていたのは、そういう事情だったからだ。