過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
ル・ジャルダン・スクレのオフィス内は、日に日に慌ただしさを増している。
通常業務であるウエディングプロデュースの仕事と並行して、自社ブランドとなる森の教会での結婚式のプラン作りが大詰めを迎えていた。
私の提案したオーダーレンタルも採用されると決まった。現段階では提携しているレンタル会社のドレスを利用している状態だ。今後は徐々に、オーダーメイドへと移行し、レンタルも自社で展開していくのを目標としている。そのために、さらに提案できるものを増やしていく必要があり、日々デザインと向き合い続けている。
真由子も補佐ではなく、正式にデザイナーとして採用すると決まり、ドレスの準備も着々と進んでいる。メインの作品が仕上がったからといって、仕事がなくなるわけではない。

今日の拓斗は、昼過ぎにオフィスへやってきた。アローズの方は仕事がひと段落着いたようで、最近は大詰めを迎えるこちらに割く時間が増えているようだ。

アローズの代表取締役を務めているお義父様は、息子が始めた事業に理解を示しており、多少の融通を効かせてくれていると聞いている。
しかし、自身に任されている仕事に対して手を抜くのをよしとしない拓斗は、どちらも全力で取り組んでいるようだ。しばらくこちらの仕事に注力できるように、少し前までアローズでの仕事を詰め込んでおり、帰宅の遅い日が続いていた。

「はい、神山です」

電話対応をする拓斗の声が聞こえてきた。
チラリと視線を上げると、拓斗はスマホを耳に当てて立ち上がったところだ。席を外すあたり、電話の相手はここの仕事関係ではないのだろう。

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