過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
それなら、アローズグループの副社長と結婚する?

ないない。冷静になって考えてみれば、非現実的な話だ。
彼は否定したけれど、やはりつり合っているかどうかは大事だと思う。加えて、価値観が合うかも。

ただ、今朝もメールを送ってきたように、ここのところ母はますます結婚にこだわるようになった。距離があれば、その攻撃をかわすのも可能だ。
けれど、だんだん年老いていく両親はいつまでも仕事ばかりの私に対して心配でならないことも理解できる。そこに申し訳なさも感じてしまう。

それならやっぱり、アローズグループの副社長と結婚する? と、再び考えてしまったものの、答えは変わらない。彼とは釣り合わないし、そもそもあり得ない話だ。

堂々巡りの思考を振り払うように、首を振った。
いくらなんでも、受け入れられそうにない。


そう思っていたのに、私を取り巻く環境は急変した。



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