【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。

本当に入籍、しました



 そしてそれから数日後、わたしは結婚の挨拶をするために天野川家にお邪魔していた。

「やあ、よく来たね。 天野川秀人(ひでと)だ、よろしく」

「は、初めまして……!森原由紀乃、と言います。よろしくお願い致します!」

 生で会う天野川秀人は、やはり風格が全然違っていた。 さすがスリーデイズの社長さん、って感じだ……。
 緊張してたまらない……。

「君が由紀乃さんか。息子から話は聞いているよ、どうぞ座りたまえ」

「し、失礼致します……」

 天野川さんと二人、社長である天野川秀人(つまり天野川さんの父親)の目の前に座る。

「由紀乃さん、と言ったかな?」

「は、はい」

 何を話せばいいのか分からなくて、俯いてしまいそうになる。

「由紀乃さんは、今度のスイーツの開発に携わってくれるんだったな?」

「……は、はい。 微力ながら、ご協力させて頂きます。よろしくお願い致します」

「こちらこそだよ、由紀乃さん。こんな息子だがすごく会社思いな男でね。……息子のこと、どうか支えてやってくれ」

 そう言われたわたしは「は、はい……。こんなわたしでよければ」と返事をした。
< 34 / 97 >

この作品をシェア

pagetop