呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~


 現状、ルビーローズに触れたくともハリーと約束しているので勝手な行動はできない。行動を移すとするなら、一番手っ取り早い方法はクリスに直談判することだろう。
(まずはクリス様にこの間のお礼をしないと。後、魔術師の資料のお礼もまだだったわね。……お礼を兼ねて彼好みの茶菓を用意する。それで満足した後、ルビーローズを調べさせてもらえないかお願いする。…………うん、絶対駄目ね)
 クリスが首を縦に振ってくれるか想像してみたが難しそうだ。

 なにせクゥをあそこまで調教した張本人だ。ルビーローズに対する執着は相当だろう。ご機嫌取りは難しいという結論に至り、別の方法を考えることにした。
(ルビーローズの花を咲かせることができれば、ラヴァループス侯爵の呪いは解ける。いっそのこと、素直に花を咲かせる手伝いがしたいと伝えた方が最善かも?)
 それにハリーが先延ばしにしてはいけない理由があると言っていた。呪いが完全なものになるとどうなるのかはまだ教えてもらってはいないが、クリスの身に危険が迫っていることは理解できる。
 ならば、その問題を解決する糸口を見つけるためにも力になりたいと申し出た方が最良ではないだろうか。
(昨日は自分の過去を清算することに精一杯で、呪いやルビーローズの話を訊くのをすっかり忘れていたわ。今日会いに行って、クリス様がいたら尋ねてみましょう)
 すると丁度、扉を叩く音が聞こえてくる。返事をするとジョンが部屋にやって来た。

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