スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
一つ風が吹き抜けていって、私の銀髪の髪が月の光と反発し合うように光を放つ。
私の運命を不幸へと導こうとする神よ。
私はその力には揺るがない、負けない。
――掴んだ幸せを壊させたりなんかさせない。
コツコツと奥から足音が軽やかに響いてきて、振り返る前に一つ瞼を閉じる。
瞼の裏に浮かび上がるレイの優しい笑顔に心を一度鎮めてから、再び瞼を開ける。
「ちゃんと一人で来たことを褒めて上げましょう」
足音がすぐ近くで止まり、掛けられた言葉と共にすぐさま振り返った。
「待っていたよ――ルフィア様」
ニタリと不気味に微笑む彼の顔には、あの人懐っこさはどこにもない。
どこか禍々しい空気すら纏った彼の気配に、思わず後ずさる。
「良かった。またこれで俺達二人きりになれましたね。失恋して、あんな弱々しくなったルフィア様との最後のお別れは流石に嫌でしたから」
嫌と言う割には、どこか楽しそうにくつくつと喉を鳴らす。
彼の皮を被った、知らない彼が私の目の前に立ち塞がる。