スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜




「やっぱりよくよく考えると恥ずかしい、色々と恥ずかしい……」


 一緒に生活してきたハイネがまさか隣国の王子だったということが、未だに信じ難い。

 あのモフモフが大好きで抱きつきに行ったりもしたけど、それが王子様だなんて……穴があったら入りたい。
 
 振り返って私の間抜け顔だったり、あれこれ見せちゃいけないもの見せてないか不安になる。

 せっかくユツィーにおめかししてもらって、気合い十分な格好をしているのに、この場にハイネ……じゃなくて、フィール王子も参加しているって考えると、どうしても隠れたい衝動に駆られてしまう。


「浮かない顔をしてどうしたんだい?」

「セドリック、お願いだから私の壁になっていて」


 私の保護者役としてセドリックも参加させておいて正解だった。

 何時ぞやは女性に連れていかれて一人ぼっちになったけど、今回は絶対にそんなことさせない……!

 一人ぼっちは何が起こるか分からないもの!


「こういう場にも慣れておかなきゃ。後々役に立つって前にも言っただろう?せっかく嬉しい手紙がレイバートから届いたっていうのに、君がそんな顔していたら心配になってしまうよ」

「今はそんな余裕ないんだもの……」

「はあ〜もう!未来のレイのお嫁さんなんだから、舞踏会では堂々としてなきゃ!」

「なっ……!」


 突然セドリックが大きな声で言うものだから、彼を狙いに来ていた女性達の目が光る。



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