悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください！～俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記～

マティウスのことは聞いたが、ミッシェルの話はまだだった。そう気づいたアメリアは、これからしようと思っていることをエリオットに話した。

「慈善活動、か――確かにいい案だ」

エリオットが鷹揚に頷き、顎を手で撫でて思案げに言う。

「そうすれば兄上の方の動きも早くなる。クラークが護衛につくなら、ぞろぞろ連れる必要はなく、よりミッシェル嬢はプライベートな活動ができる」

「はい。これは一部、ミッシェル様のお兄様のからの助言も含まれています。あのクラーク様と知り合いであれば頼んでみてはいかがか、と。ご訪される個所については宰相様達がご意見をくださるそうで、本日、ミッシェル様から話を聞くことになっています」

昨日、別れた後『二人に送ります』と始まる手紙が届いたのだ。先に兄に想いを打ち明けていたミッシェルは、両親にも相談したらしい。

心強いことに、家族は全面協力の構えだという。

宰相は、個人的にも国王達と付き合いがある。もしかしたら、マティウスの気持ちに気づいていた可能性をアメリアは推測したりした。

――それに関しては、ミッシェルには伝えない方向だ。

両親達も伝えていないことを、憶測してアメリアの方から言うのも違うだろう。それが配慮からであるならば、尚更だ。

「私は、ミッシェル様にご同行します。ですから、しばらくは王宮へはこられないかと思います」