悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ゲームの原作では、攻めの溺愛スイッチが入ってヒロインに過度なキスをするようになるまで、もう少し時間的猶予があったような――。

「分かった。なら、今回はこちらのキスで我慢しておこう」

不意にそう言われて、ぐいっと彼が肩口に頭を埋めてきた。

肩までしっかり抱き寄せられたアメリアは、そのまま首にキスをされて、しっとりとした感触にぴくんっと肩がはねる。

「ひぇ!? あ、ゃだ、だめですっ」

一回でとまらず、次々に口付けられて焦った。びっくりして突っぱねるも、エリオットを引き離せない。

エリオットは、アメリアの抵抗を容易に押さえつけた。

細い首にキスし、白く透き通るような肌を軽く吸う。その愛撫は、愛おしげで優しくて、チェリーピンクの髪ごと首の後ろを支えてますます深くなる。

「あっ、でん、か」

よりかき抱かれて密着したアメリアは、優しい手に撫でられて力が抜けた。ふと、襟元を唇で探られる感触にハッとする。

「ちょ、何をもぞもぞしているんですかっ」

「これくらい、いいだろう。しばらくはミッシェル嬢につきっ切りで放っておかれると思うと、俺の物だと刻み付けたくなる」

「よくないです!」

初心なアメリアがなけなしの抵抗を見せると、それが彼を煽ったのか、エリオットがやや興奮した様子で唇を舐めた。

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