悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
アメリアにとっても、彼女は最高に〝推し〟だった。

彼女の貴重な登場シーンに焦がれ、その少ない台詞の全部に胸を鷲掴みにされた。もう、ゲームヒロインもどの男性キャラも見えなくなった。

「よほど具合が悪かったりする?」

その彼女が、今、目の前にいる。

顔を覗き込まれて容体を確認されたアメリアは、まだ声が出なくて、ぶるぶる震えたまま首を横に振った。ミッシェルの銀髪が、さらりと落ちて目の前に迫る。

「そうか。立てそうかい?」

すぐには無理。

アメリアは、再び首を左右に振ってみた。でもこれだけでは、しばらく放っておいてくれれば大丈夫ですよ、という内容までは伝わらないだろう。

そう不安に思っていると、少し考えていたミッシェルが小さく微笑んだ。

「それなら、立てるようになるまで、私がしばらくそばにいよう」

ああああああなんってイケメンんんんんんん! 

対応がもう紳士。たまらん。アメリアは乙女ゲームのヒロインのごとく、彼女にきゅんきゅんしてしまって胸の高鳴りがものすごかった。

――〝高貴なる令嬢〟ミッシェル・イリスバーグ。

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