囚われて、落ちていく
「僕だったら、このサイズを選びます。
少し大きめなんですが、このくらいの方が着こなしやすいので……!」
「へぇー///ありがとうございます!
じゃあ、これをお願いします」
一度受け取り、広げて見た都麦。
刹那が着たところを想像して微笑み、再度店員に渡した。

「ありがとうございます!では、レジへどうぞ!」
都麦が店員についてレジへ向かおうとすると、グッと凄い力で引っ張られ抱き締められた。

「え━━━━━!!?
…………刹那…さん…?」
「都麦、何してるの?」
「あ……」

怒っている。
確実に━━━━━
声のトーンは刹那その物だが、雰囲気で怒っているのがわかる。

「ここ、メンズショップだよ?
ダメだよ、こんな所に一人で来ちゃ……!」
「あ、いや、その、あの、刹那さんに似合いそうなジャケットを見つけて、プレゼントしたいなぁって入ったの」
しどろもどろになりながら、なんとか弁解する都麦。

「そう…その気持ちは凄く嬉しいよ?
でもダメ!帰ろ?」
そのまま都麦の腰を抱いて、外に出ようとする。

「あ、待って!せっかく選んだから、買って帰りたい!」
しかし都麦は、刹那のジャケットを掴み見上げた。
「…………わかった。瞬作!」
「了解」
近くに控えていた瞬作が、レジへ向かう。

「え?え?」
「瞬作に買って持ってこさせるから、僕達は車で待ってようね」
そう言って、少し強引に外に出て都麦を車に押し込んだ。

「さぁ、都麦……どうしようか?」
「へ!?」
車内で窓に追い詰められ、刹那が都麦の口元で囁く。

「僕ね…今…すごーく、嫉妬してるんだ」

「し、嫉妬…!?」
「うん。
都麦、あの男に笑いかけてたでしょ?
あの可愛い笑顔は、僕だけのモノなんだよ?
旦那である僕だけの特権。
なのに、あんな輩に笑いかけるなんて……」
「ご、ごめんなさい…
でもね━━━━━」
「聞きたくない!今は、とにかく僕のこのモヤモヤをどうにかして?都麦が僕のモノって実感させて」

刹那の顔がゆっくり近づき、口唇が重なった。
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