トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
「これ、イギリス式の食べ方。
こうして浸すと柔らかくなって、何とも言えない美味しさになる。
日本じゃ行儀が悪いってなっちゃうのかな」
そう言いながら、もう一枚パクリと食べた。
さくらは頬をピンクに染めて、俺の口元をずっと見ている。
「美味しいよ。さくらも食べてみて」
さくらは丸いビスケットを手に取ると、それを恐る恐る紅茶に浸す。
そして、俺の目を見ながらゆっくりと口に運んだ。
「お、美味しい…」
滑らかに動くさくらのくちびるから目が離せない。
多分、絶対に、今のこの時間だって、俺はさくらを抱きたくてたまらない。
こうやって体が過敏に反応するたびに、その衝動を抑えるのに必死だった。
「たくさん食べていいからね。
さくらが想像してる以上に、この家にはクッキーがたくさんあるから」
俺はそう言って、困ったように肩をすくめた。
そんな俺を見て、さくらは楽しそうに笑う。
真夜中のはずなのに、ここの空間はお花畑のようだ。
こんなに恋焦がれて焦燥感でおかしくなりそうな感覚は、俺の中では間違いなく初めてだった。