トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
慈恩は繋いだ手をブルンブルン振りながらそう言った。
私は胸キュンを通り越して、放心状態だ。
このまま慈恩に手を引かれ地獄へ連れて行かれたってかまわない。

「さくら、たくさん、話をしよう。
さくらの事をたくさん教えてほしい。
俺達、親友になろう」

なぬ、親友かい??
恋愛へのセオリーはお互いが惹かれ合う事で、そして、愛し合う事。
親友って? 親しい友だよね?
慈恩様… 何だか、私、凹んでいます。

そんな喜んだり凹んだり、ときめいたり眩暈を感じたりしながら、私は慈恩と紅葉狩りを楽しんだ。
慈恩の優しさは本物に違いない。
でも、この美しい紅葉のシチュエーションといい、私は何者かに魔法をかけられているのかも。
それでもいい。
この真っ赤な世界は二人だけの世界。
夢だとしてもそれでも構わない。

私は完全に恋に落ちた。
結ばれるはずのない、極上の男子に…


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